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店主のひとり語り

令和5年夏 「あやめ亭」店主・太田 恒(ひさし) 記す

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店と自分の来歴について

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お客の一人から店主となった経緯(冗談が現実に)

 当時からこの店は居心地がよくて、私はちょくちょく利用させてもらっていたが、ある時、「自分もいい年になったので、この店を誰かに譲りたいが、あんたやってみんか?」とカウンター越しに大将から話しを持ち掛けられ、そこそこに酔いが回っていた当方が「そ〜もええな〜」とか調子よく返事をしたようで(自分では全く覚えていない)、そんな冗談とも酔っ払いの一時の勢いとも言うようなことから始まって、後でもう引っ込みがつかなくなり、結局それが本当になっちゃった(笑)と言うわけだ。

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飾らず衒(てら)わず、リーズナブルで美味しい料理を!

 店の在り方について、地産地消を旨とし、飾らず衒(てら)わず、リーズナブルで美味しい料理を提供してお客さんに喜んでいただく・・・と、これはまあ、当たり前のことといえばそれまでだが、紛れもない自分の正直な気持ちで、開店当初から今なお変わっていないと思う。 

 

 山陰・境港の水揚げはマグロやカニに代表されているが、実は美保湾〜日本海近海で獲れる魚はとても種類が豊富で、むしろそうした地魚を大切に扱うことを心がけている。

 白イカや鯵、イサキ、メバル、ヒラマサ、カレイ、その他滅多に市場に出ないマイナーな魚も数多く、それらの名を上げれば暇がなく、それらの旬は季節ごとに移り変わり、その時々の旨い魚を見立てて仕入れるよう心がけている。

 

  店でもうひとつ“ウリ”にしているのがおでん。豆腐や厚揚げ、玉子、牛すじなど通年の具材もあるが、ここにも季節を反映させたくて、ワカメとか旬の野菜を巾着にするとか、ちょっとした工夫を施すようにしている。

 おでんについては日々のこまめな出汁の管理が大事であることは言うまでもない。季節感を楽しんでいただくという意味では天麩羅も然り。春は山菜、夏は夏野菜、秋〜冬は白ネギなど、地元の旬の素材を使ったかき揚げなど、とても喜んでいただいているが、変わり種としては完熟トマトの天麩羅。ぜひ一度ご賞味いただければと思う。

我が店では、家族も大事な構成要素

 この店を始めた時、アルバイトで来てくれていたのが妻、里奈(りな)である。

 

 働きぶりもよく、気が合ったので、少々の歳の差も苦慮することなく、そのまま結婚した。そして今日に至るまでに子供が5人。

 そうした事情もあって、店の営業は月曜日〜土曜日、日曜日は子供たちと一緒に過ごせるように、また妻の負担を多少でも軽くしてやる必要もあって、きっちりお休みにさせていただいている。営業時間を21時までとさせていただいているのもその故である。

  日頃子供たちは、学校から帰ると店の方にやってきて、ここで過ごすことも多く、楽しいエピソードもいろいろある。

 

 例えば小5の男の子など、ある時、厨房に入って何やら魚を調理している。何かと思えば“鯵のなめろう”ではないか。多分、私が作っているのを見て自分にもできそうだと思ったからか、あるいは自分で食べたかったからか。

 いずれにせよその心意気、おおいに褒めてやりたいが、皿に盛り付けられた“なめろう”を見て、私も一言、「まだ(店に)出せんな〜w」。

 

  小3の女の子などはお客さんからの日本酒の注文に、大きな一升瓶を抱えてグラスに向かって、もっきり(盛り切り)。

 お客さんの「もちょっと、もちょっとw」というご要望に上手に受け応えていて、これも「今から鍛えれば将来すごいことになる!」と思うのは、親バカの極みか!?

 

 かように我が店では、妻や子供たちがとても大事な構成要素であって、「じゃまてご(脚注)」だなんてとんでもない、「飾らず衒わず・・・」というポリシー(と言うほど大層なものではないが)を日々自然に、家族皆が体現してくれているのである。

 

【注】「じゃまてご」とは、邪魔になるお手伝いという意味の山陰の方言。

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意外にも私の趣味は!?

 ご来店いただいた皆さんにはお気づきいただいているかどうか分からないが、店内に何枚か、洋画を掲げている。

 これらは実は自作のもので、何年か前、常連さんから「お前は手先が器用だから、絵でも描いてみんかや?」と言われて始めたものである。

 思えば先代から「この店をやってみんかや?」と言われてこの店を始めたように、周りの人たちからのそうした一言に背中を押されることが多々あるように思う。つまり、おだてや調子に乗りやすい、根っからそんな性分なのだろうとつくづく思う。

 そうして描いた作品は、奥の座敷の壁にひっそりと掛けているので、座敷席が空いている時にぜひご覧いただきたい。ちなみに次の制作については全く未定である。しかし絵は良き趣味として、これからもぼちぼちと描いていこうと思っている。

最後に改めまして、感謝の言葉!

 久しく飲食店を経営してきたが、ここに至って遅ればせではあるが、初めてのホームページを発出することとなった。

 

 ・・・と言うことで、少し面はゆい気分もありながら随分気負って、長々とあれこれを書いてしまったが、この駄文をお読みいただいて、面白半分で酒の肴にでもしていただけたらこの上ない。

 加えて、物好きにも最後までこの拙文をお読みいただけたとしたら、心の底の底の底から感謝を申し上げたい。今後とも末長く、一品料理「あやめ亭」を何卒よしなに。

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